官僚たちの夏 最終回

なんて中途半端な終わり方の最終回。ここまで中途半端にしかも後味が悪いドラマって私が見た中では珍しいです。なんと言っても主人公(風越)派が政争とは言わないな、派閥争い?に負けて、しかもずっと取り組んでいた繊維問題の労働者達にボコられたあげく、熱血派庭野の最後の台詞が「休んでいいですか…ちょっと疲れました」ってどうよ。ううう。庭野的には見所が多かった回ではあったんですが。いかんせんこの後味の悪さは今までの回全部の感動を忘れさせるようなものです。はい。最終回を前に原作を立ち読み(しかも最後の方だけ)した感じでは救いがない…というのはわかってはいたのですが。

でもせっかく書いてきた感想、めげずに書いちゃいます。

今回唯一かっこよかったのが片山。鮎川のお通夜では「空気読めよ」的発言がありましたが鮎川の熱意に負けたフリをして繊維の現場を回ったり、「いい生地だ。世界に負けない」とちょっと情熱的なところを見せたりして。極めつけは「私はあなたや須藤さんのように日本を売ったりはしません」ちょっとうるっと来ました。しかし惜しむらくはここまでに至る心の動きが今ひとつ見えなかったこと。せっかく玉木が「おまえのやりたいように」といってくれていたのだから、ちょっと心情を吐露しても良かったんじゃないかなー。ま、言わないのが片山らしさといえばそうなんですが。やっぱり、日本の産業に対する思いはあるのねー照れちゃって。とぐりぐりしたくなってしまいました(←変?)
片山に非難される牧。この人ほんとに次官になるためだけに今までやってきたのね。ヒゲ生やしたあげくころっと態度を変えちゃって風越に嘘までついて。正直態度の豹変ぶりに嫌気がさすんですが、これはこれでありなのかな、と思わせるところがすごい。ま、ほんと風越派から見ればいやなヤツなんですけど。
片山に日本を売ったと評された須藤大臣。ダンディな雰囲気のまま、アメリカに押し切られちゃいましたね。でも、やっぱりこれもアリなんですよね。当時の日本の状況、今ひとつ把握できていないんですが、アメリカの軍事力に頼っていたのはわかる。でも、繊維を犠牲にして沖縄を返還させ、得たものは何だったのか…。米兵の沖縄での罪が罪とならない事態は(少しは日本の法律で裁けるようになったとはいえ)今でも変わっていません。私に政治や沖縄の方達がどうだったかなんてことについて論じる資格なんてありませんが、そういうことを考えてしまいました。

風越、最後まで詰めが甘かったですね。鮎川が亡くなってしまったのがたぶんその最たるものだと思うのですが。牧にキレイにしてやられ、結局片山が次期次官になってしまうことを防げなかった。産業発展には寄与したと思うのですが、省内の人事レースには勝てなかった。(自分ではなく、自分の跡をつけるという意味で)退官してしまえばほんとにタダの人になっちゃうんですねぇ。少なくとも天下りをしていたらもうちょっと影響力はあったと思うのですが。(←天下りを肯定しているわけではありません。あくまでドラマの見方ということです)でもなぜ最後、労働者達にボコられてたんだろう?無関係だと思うのですが。自ら進んでぼこられに行ったとしか思えません。ううっどうしても辛口意見になってしまう。ほんとは佐藤さん、大好きなんですよ。(←今頃言っても説得力がないかな)
病床の鮎川。最期の最期までいい人でした。病床であれだけのはがき書いたり、真っ青な顔して出社しようとするほどの仕事バカではあるので、奥さん大変だったでしょうが、理解されてましたね、奥さんには。ほんとに。
その鮎川の病院で、うるうると涙をためていた庭野。そしてお通夜で顔を真っ赤にしてお酒飲んでた庭野。ほんとに先輩である鮎川が好きだったんだと。だから片山が鮎川の仕事を否定するような発言をするととっくみあいをしそうになるくらいカッとなったんでしょう。繊維局長に格下げされても、「鮎川さんの仕事」だったからと飄々と受け入れ、政治家達に頭を下げ(倒れつつも)、繊維業界のために牧に対して大声を出し、デモ隊が押し寄た報を聞いてあきらめを浮かべた表情で上着をとって出て行く…そしてボコボコにされる。がんばったと思います。庭野は庭野の信念を持って。それが報われなかったが故の「ちょっと…疲れました」だったとは思うのです。でも、もう少しがんばってほしかった。鮎川のためにも、そして日本のためにも。ドラマ的には。
堺さんとしては、どれもすごくいい表情で。特に上着をとる場面での決意の表情がとても良かったです。だから、あの最後の台詞には納得いかないんですよ。しつこいですが。

ともあれ、3ヶ月毎週日曜日楽しみでした。最後はともかく、とてもはまり込めるドラマだったと思います。来週から寂しくなるなぁ。