青い文学 人間失格3 世間

前回助けてもらった女性編集者(志津子)の家に居着いて家事をし、小さい子供に「お父ちゃん」と呼ばれて抵抗せず、うるさいご近所のオバサマたちの噂話もかるくいなしておだやかな顔でいる葉蔵。これが普通の幸せかとなんとか納得しようとしている様子がどうも痛々しいです。
自分で金の稼げない人間は失格だと言われた過去。しかし稼ごうと画家になるのをあきらめて漫画を描きはじめ、ささやかながらも収入を得て、人間らしい(と葉蔵が考える)生活をしはじめると世間と関わりをもたずにはいられず、そして世間の自分に対する評価(女性殺し・鎌倉での心中事件)がつきまとう…
「女神さま」とまで言った子供に「お父ちゃんは女の人を殺したの?」と直接聞かれてショックを受けてすぐに酒に逃げ、バーのマダムといい仲(?)かななってしまうところが葉蔵の弱さ、そしてモテぶり(笑)を象徴してる感じがします。自分でも「女の人はなんで自分にやさしくしてくれるのか」なんて言ってましたが、私のツッコミは「いや、アナタ自分から助けを求めに飛び込んでるから!」でした。アニメでのルックスはもちろん、近所のオバサマもかわいいといい、確か以前にもいい男と言われてた気がしますが、そんなオトコが精神的にボロボロになって助けを求めに来て助けない女っていないんじゃないかなあ… 。バーのマダムは「世間が女にやさしくないから」と答えてましたが、この構図は現在でも変わってないんじゃないかと。
今の世間も女性にやさしくないというのは日々感じますね、正直。フツーに生きている私でさえも。だからせめて傷ついた、しかも助けを求めに飛び込んできた人にやさしくしたいという気持ちはわからないではないです。実際にそういう場面に遭遇したら助けるかはともかく(笑)
ちょっとズレましたが今回のクライマックスは雪の中で大の字になって泣きながら「僕が弱いから…」「…生まれてきてすみません」というところでしょうか。前回も書いてますが、堺さんは「健やか」な方だと私は思っています。考え方にしても、性格にしても。でもこの場面、ホントに堺が実際に泣いてる感じがして聞いていて苦しくなってしまいました。そのあとの美子(タバコ屋の看板娘・古)との会話になったときに瞬時に変わった声とのギャップがまたたまらないです。すごい演技力なんだなあと。

前回と違い長々と感想を書いてしまった…。次回最終回楽しみです。