誰も語らなかった中原中也


この間衝動買いしたうちの1冊を読了。
私は正直なところ、詩はかなり苦手です。活字を読むのは大好きでむしろ活字中毒といってもいいくらいなんですが、詩だけは…あまりにも削り取ってある言葉の裏というか奥にあるモノを読み取るのが苦手なんですね。どうやら学生時代の現代文の授業のせいかとも思うのですが。

ではなぜこれを選んだか…というと、やっぱり堺さんの影響なんですねこれが(苦笑)直接的に中原中也を語られたものに接したことはないですが、なんとなく私が堺さんに抱くイメージと中原中也がぴったり会ったから…というわけです。

というわけで、ほとんど中原中也のことを知らない私の勝手な感想です。

この本は、中原中也の詩に感銘を受けた歌人福島泰樹という方が、中也の生い立ち、日記・詩・手紙などの作品、交遊関係のあった高森文夫という詩人への取材した中也のエピソードを通して、中原中也という詩人について語る(というか述べる)という内容です。

全く中也に予備知識なく、ほとんど作品も知らなかった私は、文中にある中也の詩にとても惹かれました。後ろに作者なりの意訳というか解釈もついているのでわかりやすいですし。ただ、長い詩の一部のみを抜粋してあるので、全部を知りたい方には不向きかも。
私は詩というのは、作者の人生を色濃く反映しているもの、あえていうなら魂の叫びのようなものだと勝手に解釈しているので、詩を読むには作者のその当時の状況、時代背景などがわからないと真の意味がわからないなでは…と思っています。だからこそ重くて今まで敬遠していたところもあるのですが。ただこの作者は、散々に中也の作詩当時のエピソードと詩を重ね合わせて解説したあげくに
「作品に背景を重ねるのは本来邪道な読み方だ(文はまったく違いますが、私は読んでそう解釈しました)」という一文をポンと読者に投げつけるんですよ…じゃあ詩を楽しむのはどうやって?と私などは混乱します。

中也のことはとても興味を持てましたが、詩の楽しみ方にはもやもやとしたものが残る本でした。

堺さんのファンである私には意外な楽しみが。
文中にしばしば登場する中也の友人、高森文夫という方は、宮崎県の東郷町というところの出身で、かの歌人若山牧水の出身地でもあります。作者はこの若山牧水記念館の館長である伊藤一彦さんと交流があるらしく、時々文中に名前が出てきました。
伊藤一彦さんといえば、堺さんの高校時代の恩師の方ですよね!意外なところで思わぬ名前に遭遇してびっくりでした。

次は何を読もうかなあ…